離婚の「調停調書」とは?その効力や離婚公正証書との違いについて

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調停で離婚がまとまると、数日後に裁判所から「調停調書」をもらうことができます。
その調停調書に養育費や財産分与など金銭の支払いに関する合意内容が明確に記載されていると(金額や支払時期が明確であることが必要です)、後日その約束が果たされず不払いという事態になったとき、調停調書に基づいて強制執行をすることができるという強力な効果があります。
公正証書も同じでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、調停調書には公正証書とは異なる性質もありますので、その違いを把握しておきましょう。

1.離婚の調停調書とは

調停調書とは、離婚調停で夫婦が合意した事項を裁判所が記載した書類です。
調停の話し合いで離婚や離婚条件について合意がまとまりましたら、担当裁判官が夫婦の面前でその内容(具体的な調停条項の内容)を読み上げて確認し(当事者の意向により、夫婦同席で確認する場合と、別席で順次確認する場合があります)、夫婦双方がすべて条項の内容に納得すれば、調停離婚が成立します。
調停が成立しましたら、その後数日から1週間程度で、当事者双方に対し、裁判所から調停調書が送られます(裁判所に取りに行くのも可です)。

調停離婚の場合も役所に離婚の届出をしなければならないのですが(そうしないと、いつまで経っても離婚が戸籍に反映されません)、その届出の際にも調停調書が必要になります。

非常に重要な書類なので、調停調書を受け取ったら大切に保管するようにしましょうなお、調停調書は、離婚の届け出用、年金分割の手続用、保管用など、複数もらうこともあります。特定の目的のためにもらったものは役所等に原本を提出してしまいますが、保管用のもの(すべての条項が記載されたもの)は必ず保管するようにしましょう。

2.調停調書と公正証書の違い

調停調書と公正証書は何が違うのか、ひとつずつ確認してみましょう。

2-1.離婚方法

調停調書が作成されるのは、調停離婚をする場合です。
これに対し、公正証書は、協議離婚をする場合に活用します。
合意内容は変わらないのに両方とも作成する、ということはありません(調停離婚した後にあえて公正証書も作成するということは可能ですが、無意味です)。

2-2.作成する場所や機関

調停調書が作成される場所は家庭裁判所であり、作成者は裁判所の書記官です。
一方、公正証書を作成する場所は公証役場であり、作成者は公証人です。

2-3.作成の方法

調停調書を作成する際には、夫婦間でまとまった合意の内容を具体的な条項に落とし込む作業が必要になります。弁護士が代理人についている場合は、弁護士の方で条項案を準備することが多いですが、弁護士が関与していない場合は、裁判所(裁判官・書記官)の方で条項の内容を練ってくれると思います。親権や養育費等に関する典型的な合意事項については裁判所にひな形がありますので、それに当てはめれば済むのですが、イレギュラーな合意事項がある場合には、具体的な条項内容を練られなければなりません。すべての条項の内容について双方が了解しましたら、裁判所の方で調停調書を作成してくれます。

一方、公正証書の場合は、まず公証役場に相談に行って(一方だけでかまいませんし、電話、郵送、ファックス等でのやりとりも可能かと思いますが、最寄りの公証役場にご確認ください)、夫婦間でまとまった合意内容を伝え、公証役場の方で公正証書の案文を作成してもらいます(案文を作成してもらうまでに数日はかかると思います)。公証人によっては、イレギュラーな内容のものは嫌がられるかもしれません。公正証書の案文に夫婦双方が納得しましたら、公証役場と夫婦双方の都合に合わせて作成日に予約をとり、当日は当事者双方が公証役場に出向き(代理人を選任することも可能です)、改めて公正証書の内容を確認し、費用を支払って公証人に公正証書を作成してもらうことになります。

2-4.強制執行できる範囲など

公正証書においても、金銭の支払い約束について強制執行認諾文言というものを付してもらえれば、後に約束を破られて不払いとなった場合、直ちに強制執行に移ることが可能となります。相手方の給料や預金などを差し押さえることができるということです。ただし、養育費や慰謝料、お金による財産分与の支払いなど、あくまでも「金銭支払い」の約束のみを担保できるにとどまります。

これに対し、調停調書の場合は、強制執行できる範囲が金銭の支払い約束に限定されません。たとえば、一方が他方にいついつまでに自宅建物を明け渡すという条項を定めた場合、調停調書であれば建物明渡しの強制執行ができますが(執行官が強制的に明渡しを実現してしまいます)、公正証書では直ちに強制執行に移ることはできません(強制執行の前に訴訟等の手続きを踏む必要があります)。

不動産登記についても大きな違いがあります。
公正証書に登記義務を定めても(たとえば、自宅不動産を夫から妻に財産分与し、夫はその登記申請をすると定めても)、そのほかに夫から印鑑証明書その他の必要書類をもらわなければなりません。したがって、こと登記という面では、公正証書を作成する意義はあまりなく、公正証書で定めても任意の離婚協議書で定めても違いはないということになります。

これに対し、登記義務を定めた調停調書の場合は、その正本がありさえすれば、夫側から別途の書類等は何ももらう必要がなく、妻側だけで登記を完了することができます。強制執行も不要です。

3.調停調書で離婚届を提出する方法や期間

離婚調停が成立したら、届け出義務を負う当事者が役所に行き、離婚の届け出をしなければなりません。その義務を負う当事者は、原則として調停を申し立てた申立人ですが、調停調書に「相手方の申出により」離婚すると記載されている場合には、調停の相手方となった方が届け出ることになります。
以下、離婚届の方法や期間について触れておきます。

3-1.調停調書の謄本を受け取る

調停調書で離婚届を提出するには「調停調書の謄本」が必要です。
離婚調停が成立しますと(具体的には、裁判官から調停条項の内容を読み上げられ、双方ともそれで調停を成立させることを了解すると)、書記官から調停調書の申請について確認されることになると思います。通常は、すべての調停条項を記載した謄本又は正本とともに、戸籍に関する情報(離婚と親権)の合意事項に限定した「省略謄本」の交付を申請することになると思います(年金分割に関する条項がある場合は、年金分割用の抄本も)。
調停調書の交付申請をすると、所定の印紙代がかかりますが、書記官が具体的な金額をおしえてくれるはずですので、書記官の指示に従って印紙を購入し、裁判所におさめてください。

3-2.受け取った調停調書を持参し、離婚届を役所に提出

裁判所から調停調書を入手しましたら、できるだけ早めに役所に持参し、離婚の届け出を行いましょう。
戸籍を出る方が届け出をする場合には、離婚後の戸籍の取り扱い(両親の戸籍に戻るのか、新しい戸籍を作るのか)も決めなければなりません。新しい戸籍を作る場合には、その本籍地の場所も決めておきましょう。

また、離婚後も婚姻時の名字を使いたい場合は、婚氏続称の届け出も一緒にしておくようお勧めします。
なお、婚氏続称の届け出は、3か月以内であれば離婚後でも行うことができます。

3-3.離婚を届出るべき期間

法律上、調停離婚が成立した場合には、届け出を行うべき当事者が、「調停成立日から10日以内」に役所に届け出なければならないことになっています。これを過ぎると「5万円以下の過料」という制裁を受けるリスクが生じることになっていますが、実際にその制裁を受けたという方はいないかもしれません。
10日を過ぎても離婚届は受け付けてもらえます。
また、10日を過ぎると、他方当事者からも届け出ができるようになります。

4.調停調書に現住所を載せない方法

調停調書には、当事者それぞれの住所を記載しなければなりませんが、離婚事件では、他方当事者に現住所を知られたくないという事情があるケースも少なくないため、運用は寛容になっており、基本的には当事者が希望した住所を記載してもらうことができます。

5.調停調書をなくしたときの対処方法

もし調停調書の謄本や抄本をなくしてしまったら、裁判所に再発行を申請することができます。
強制執行を行う場合には調停調書の「正本」が必要なので、まだ受け取っていなければ申請しておきましょう(調停成立時に正本の送達をしていなかった場合には、相手方に対しても改めて正本を送達してもらうことになります)。

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