離婚調停は弁護士に依頼すべき?メリットを解説
離婚調停を進めるとき、弁護士に依頼するとどういったメリットがあるのでしょうか?
後にくわしく説明するとおり、離婚調停又は円満調停で弁護士を代理人につける方は年々増え続けているようです。調停における弁護士の重要性が認識されてきているといえるでしょう。
今回は、離婚調停でどのくらいの人が弁護士をつけているのか、弁護士に依頼するとどういったメリットがあるのかをご説明します。
離婚を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
1.離婚調停で弁護士をつける人が増えている!
夫婦が本人同士で協議しても合意に至らないならば、家庭裁判所で「離婚調停」を申し立てるしかありません。一般の訴訟と同じく、離婚調停も自分で申し立てることができますが、近年は弁護士に依頼するケースが増加している傾向がみられます。
2019年版の弁護士白書によると、2004年時には弁護士が関与する件数の割合は22.1%であったところ、2009年には26.0%、2014年には41.8%となり、2018年には51.7%にまで増えているとのことです。
つまり、2018年時点では「半数以上のケース」で弁護士が離婚調停又は円満調停に関与していたということであり、弁護士関与の割合は年々増加傾向にあるので、現在はもっと増えていると推察されます。
このことは、離婚調停になると相手方が弁護士をつけてくる可能性が高い、ということも意味します。相手方に弁護士がついているのにこちらには弁護士がついていないと不利になるのかどうか、これはいろいろな要素が影響することなので一概にはいえませんが、そのリスクがあることは否定できません。
2.離婚調停で弁護士に依頼するメリット
この20年弱の間になぜ離婚調停を弁護士に依頼する人が増えたのでしょうか?弁護士に依頼するメリットをみていきましょう。
2-1.調停の手続を任せられる
1つ目のメリットは、一般の方には馴染みのない調停の面倒な手続を任せられることです。離婚調停を申し立てるだけでも、申立書等のフォームを用意してそれらを作成し、戸籍や収入証明等を取り寄せ、印紙や郵便切手を購入し・・・などのステップを踏まなければなりません。申立てが済んだ後も必要に応じて資料や証拠を提出すべきことが多く、慣れていないとそれなりに時間と手間がかかってしまうでしょう。
弁護士に依頼すれば、申立てに必要な書類の作成、提出、証拠の取捨選択の判断、裁判所との日程調整その他のやり取りなど、すべて任せることができますので、時間と手間を大きく節約できるというメリットが得られます。
2-2.適切なアドバイスを受けられる
離婚調停を進めるにあたっては、さまざまな検討や準備を経て期日に臨まなければなりませんし、期日の場で調停委員(場合によっては裁判官)から予想していなかった提案(多くの場合は強い説得を伴います)をもちかけられ、その場で適切に対応することが必要となることもあります。まずは相手方に対してどういう要望(提案)を伝えるのか、予想される相手方の回答に対してどのように対応していくのか、最終的にどこを目標着地点ととらえてどのように合意にもっていくのか、そもそも合意の見込みが薄い場合は調停後の対応方針など、それぞれのケースに応じてその都度考えるべきことは多岐にわたります。
状況に応じてその都度適切に判断をしていかなければ、不利な条件で離婚してしまう結果にもつながりますので、油断できません。
離婚事件の経験が豊富な弁護士が代理人についていれば、その都度適切なアドバイスを受けることができますので、大きな安心材料になるでしょう。
相手方の意見や調停委員から提示された見解などにどう対応してよいかわからないときにも、弁護士の助言を聞いて決定すれば不利益を受けるリスクを低下するでしょう。
2-3.調停委員に対し適切に意見を伝えてくれる
離婚調停は調停委員を介して話し合いにより進める手続なので、まずは調停委員に対して自分の意見や希望を口頭で的確に伝えることができなければ、その話し合いを有利に進めていくのは初めから困難になるといえるでしょう。しかし、一般の方が1人で調停に臨むとなると、自分の希望を通すためには何を言えば効果的なのかの判断もつかず、結局は調停委員の整理や説得に従って進めるほかなくなってしまうことが往々にしてあります。
口下手な方もいらっしゃいますし、緊張しすぎたりつい感情的になってしまってうまく説明できなかったというケースも多いでしょう。
弁護士がついていれば、必要なことは弁護士が漏らさず話してくれるはずです。逆に言わない方がいいことがあれば、それも事前におしえてくれるでしょう。弁護士は、あなたが事前に話しておいた内容や資料をもとに、調停委員に対して適切に意見を伝えてくれます。g
自分でうまく説明する自信がない方は、弁護士を代理人にする必要性が高いといえるでしょう。
2-4.調停を有利に進めやすくなる
離婚調停では、夫婦がお互いにいろいろな意見を出し合って話し合いを進めます。ときには相手方の言い分に納得できず、反論したい場面もあるでしょう。
弁護士がついていれば、法的な観点を踏まえて相手方の主張に対して的確な反論をすることができます(戦略的または効率的観点などからあえて反論しない場合もあります。)。こちらの主張に法的または裁判実務的に正当性をもたせることができれば、話し合いを有利に展開することが可能となり、満足できる条件で離婚できる可能性が高まるでしょう。
調停委員は公正中立な立場で当事者の間に入って調整をすることになっていますが、調停委員の調整では合意形成ができそうにない場合は、担当裁判官の意見をきくことが多いです。裁判官は法的に正当性のある見解を示すのが通常ですので(裁判官によっては明確な見解を示さないこともあります)、調停委員はほぼ間違いなく裁判官の言うことを絶対視し、裁判官の意見に沿って当事者を説得しようとします。
何が問題になりそうか、それについて裁判官はどのような見解をとるだろうかといった点をあらかじめ予想し、出しておくべき主張や証拠を漏らさず出しておくということがとても重要になります。
このことを的確にこなすには、離婚事件に関する十分な法的知識や実務経験を有する弁護士の力が必要でしょう。
自分では法律論がわからなくても、弁護士がついていれば説明してくれますし、調停での話し合いも有利に進めやすくなるので、困ったときにはぜひ弁護士に相談してみましょう。
2-5.訴訟を見据えた対応が可能
離婚調停が不成立になったとき、離婚訴訟を提起すべきケースは少なくありません。訴訟となると、毎回裁判官が当事者の主張と証拠を確認、整理しながら心証を形成していき、最後に判決を下すことになります。訴訟になっても最後は和解(話し合い)によって解決することももちろん多くありますが、調停のときとは異なり、訴訟上の和解の場合は裁判官の心証が和解内容(離婚条件)にかなり影響してくることが多いといえるでしょう。裁判官の心証を少しでも有利にするためには、その事件の法的な争点を理解して適切な訴訟活動を行わなければなりません。また、実際には調停の段階から訴訟をも見据えた対応をしておくのがベターです。調停時の対応が訴訟の結果に影響を与えてしまうことがあり得るからです。
弁護士が関与している場合には、訴訟になった場合のことも踏まえた対応をするのが通常ですので、訴訟になったときに不利になるようなことをしてしまうリスクは減じられます。
調停段階であっても自己判断で動くと後で不利になる可能性がありますので、不安がある方は早めに弁護士に相談しましょう。
2-6.精神的に楽になる
離婚問題が生じると、相手方とは対立関係になりやすく、相手方とのやりとりは精神的に大きな負担となるものです。不眠やうつ症状に悩まされる方も少なくありません。そのようなとき、あなたの客観的な状況や立場について冷静かつ的確に説明してくれて、今後どのように対応していけばいいのかという具体的な方針をアドバイスしてくれる弁護士がいると、大変に心強いものです。
さらに、弁護士に代理を依頼すれば、相手方との交渉一切は弁護士に任せることができるので、精神的なストレスはかなり軽減することができるでしょう。
2-7.弁護士にアクセスするためのハードルが低くなっている
離婚調停で弁護士をつける人が増えていることに関しては、弁護士にアクセスするためのハードルが低くなっていることも影響していると考えられます。最近はインターネットでもたくさんの弁護士を探すことができますし、離婚に悩んでいる方に向けて情報発信している弁護士も増えています。一般の方でも弁護士にアクセスしやすくなっている状況といえるでしょう。
「弁護士なんて大げさじゃないか」「ちょっとハードルが高い」などと躊躇する必要はありません。
3.離婚調停を依頼する弁護士の選び方
離婚調停を弁護士に依頼するのならば、できるだけ離婚事件について十分な経験があり、現時点でも離婚事件を常時扱っているような弁護士を選びましょう。普段あまり離婚事件を取り扱っていない弁護士や、経験は豊富でもかなり以前の経験であるような弁護士に依頼しても、よい結果を得られにくいであろうことは想像に難くありません。
また、弁護士と実際に会ってみて抱いた印象や相性も重要です。この人であれば十分に意思疎通ができると思えるような弁護士を代理人として選任しましょう。
当事務所は離婚問題に特に注力しており、これまで多くの離婚調停案件に携わって参りました。
・これから離婚調停を申し立てる
・相手方から離婚調停を申し立てられた
・自分で離婚調停を進めてきたが以後は弁護士に頼みたい
どのような状況であってもご相談に応じますので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。
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