2017.11.20
有責配偶者からの離婚請求
法定の離婚原因には、「婚姻を継続し難い重大な事由」があります。
婚姻関係の破たんがこの事由に該当しますので、婚姻関係がすでに破たんしているといえる場合には、離婚請求が認められるのが原則です。
しかし、その破たんの原因を作った側(有責配偶者)からの離婚請求の場合は、例外的にハードルが一段高くなります。
例えば、浮気相手と再婚したいがために、浮気をした配偶者から離婚を求めて裁判を起こすような場合です。
このようなケースでも離婚請求を認めるかどうかは、次の3点を必ず検討したうえで総合的に判断されます。
①別居期間が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいるか
②未成熟の子(親の扶養や扶助がなくては生活を維持することができない子)がいないか
③離婚により相手方配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状況におかれるなど、著しく社会正義に反するといえるような事情がないか
別居期間が10年を超える場合は①が肯定され、10年に満たない場合は、同居期間や年齢のみならず、有責性の程度なども考慮して判断されるといわれています。
②の未成熟子とは、親の扶養や援助なくしては、まだ経済的、社会的に自立して生活することができない子どものことをいいます。
成年に達していても、在学中であったり心身に障害があったりする場合には未成熟子と評価されることもあります。
もっとも、たとえ未成熟子の存在が認められたとしても、特に心身に問題のない高校生以上である場合には、有責性の程度、別居期間の長さ、
その間の監護状況、離婚後の監護体制や経済的状況などにより、離婚が認められることもあります。
③は抽象的な要件ですが、例えば、離婚に伴う財産分与や慰謝料の額が十分でなかったり(
これらの額は支払う側の資産状況や経済状況に依存せざるを得ません)、支払の確実性に不安があったりする場合に適用されます。
精神的・社会的な苛酷さについては、一般的に、別居が長期にわたっている場合には離婚によってさほど変わるものではないだろうと考えられますが、個別具体的事情によっては、これによって離婚が否定されることもあり得ます。
このように、有責配偶者からの離婚請求は、離婚原因以外の争点についても、いろいろな面からの総合考慮が必要なケースとなりますので、訴える側も訴えられる側も、主張立証の負担は大きくなる傾向があります。
解決事例Examples of solutions
親権問題
夫の育児非協力や間接暴力等が原因で不貞行為に及んだ妻が、夫から離婚と子どもたちの親権を求められるとともに、慰謝料300万円と離婚後の養育費の支払を求められたが、妻から夫への支払は一切なしで、妻が子どもたちの親権者となり、夫から月7万円の養育費を得るなどの条件で離婚した事例
財産分与問題
妻に拒否的な態度をとられ続け、ついに離婚を決意して自宅を出た夫が、残債(住宅ローン)が残らないような財産分与の条件をとりつけて離婚した事例
慰謝料金額交渉
結婚から2か月後に実家に帰ってしまった妻から、180万円の未払婚姻費用(月15万円×12か月)と慰謝料等約60万円の支払及び謝罪を求められた夫が、30万円の解決金のみを支払う条件で離婚した事例
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