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2022.06.15

不貞の証拠について(裁判例紹介)

弊所には不貞事件の相談も多く寄せられますが、「どの程度の証拠があれば不貞が認められるのか」という点、不貞事案によくあらわれる悩ましい問題です。

ふたりでラブホテルに出入りしたという内容の探偵の調査報告書があるという事案であればまず問題ないのですが、そういうばっちり証拠がない事案も少なくなく、「これでも大丈夫でしょうか?」というご質問に対する判断が非常にグレーで難しい場合もままあります。

今回は、そのような悩ましい問題のひとつの参考例として、東京地裁の裁判例をご紹介します(東京地判令和3.1.27判時2514・39)。
妻が夫の不貞相手と思われる女性(以下「Y女」といいます。)に対して不貞慰謝料を請求したという不貞事件であり、夫とY女とY女の夫は同じ会社に同期で入社した関係でした。
ちなみに、妻と夫の間には、夫が提起した離婚訴訟も係属しており、本件の判決が下る前に、夫の離婚請求を認める判決が出ていました。

この事案で不貞行為を裏付ける証拠は、おおむね以下の4つでした。

(1)「ホテル△△渋谷店」の利用明細書(某日19時頃から翌日1時頃までの利用)が自宅にあった。
(2)夫とY女との間のメールには、「心から愛している」「いつも愛おしく思っている」「失楽園を見てさらに貴女を思い焦がれている」「将来は2人で幸せにくらすぞ~」「今も希望を感じてお付き合いを続けていたら一緒にジムに行ったりできてたのかな」「(夫の)44歳を新年にふたりで改めてお祝いしましょうね」等の記載があった。
(3)夫の手帳には、「12/17(水)有楽町 韓国 ¥4000 ¥4000国分 1100 電車」、「5/29 … 3800ホ渋 …」、「8/8 … 国分寺6762円 …」、「9/1 … 国分泊タクシー910」などと記載されていた(なお、Y女は国分寺に居住していた)。
(4)夫の友人であるBの陳述書には、夫がBに対し、離婚して不貞相手と一緒になりたい、ホテル代は不貞相手が支払っている、不貞相手は会社の同期である、その夫もかつて同じ会社に勤めていて、平成25年10月頃ニューヨークにいた、不貞相手の2人の子どもは学生だ、と話していたという記載がある。

これに対し、Y女は不貞行為を否認し、以下のような反論をしていました。

夫とY女は絆の深い同期入社仲間にすぎない。
妻が指摘するメールの趣旨は、互いに苦境の日々を励まし合いながら乗り切ってきたという感慨、感謝、心無い言動により相手を傷つけたかもしれないことへの謝罪などである。
Y女は帰国子女であるため「愛する」という言葉への感覚が欧米的なのである。
「今も希望を感じてお付き合いを続けていたら一緒にジムに行ったりできてたのかな」というメールは、同期にふさわしい関係が維持され、さまざまな困難をともに乗り越えていけるという希望をもてる状況であれば、一緒にジムでトレーニングをしたかったという述懐である。
「(夫の)44歳を新年にふたりで改めてお祝いしましょうね」というメールは、単なる社交辞令である。
Bの陳述書の内容は信用できない。

Y女の反論内容はかなり無理がある(妻の立場からするとかなり癇に障る)もののようにも思えますが、さて、夫とY女の不貞行為は認められたでしょうか。。。

裁判所が出した結論は、夫とY女が非常に親密な関係にあったとは認められるものの、不貞行為があったとまでは認められない、というものでした。

やはり、不貞の認定はなかなか厳しい(大変)といわざるを得ませんね。
裁判所は、Y女の反論はいずれも不自然不合理であって到底信用できないと、Y女に厳しいことも述べていたのですが、だからといって(Y女が不自然不合理な弁解をしてるからといって)不貞行為があったと推認できるものではないとしました。

ちなみに、Bさんは本件に先行していた離婚訴訟で尋問に呼ばれていたようですが、その尋問期日に出頭しなかったようで、それもあってか、本件では証人として申請されることもなかったそうです。
こうなってしまうと、Bさんの供述はないも同然です。
こういう当事者の友人の陳述書が証拠として出てくることもめずらしいですが、さすがに陳述書以上に深入りすることはなかったわけですね。
本件のBさんに関する具体的な経緯は不明ですが、陳述書に署名押印するくらいならいいけれど、裁判所に出向いて尋問まで受けるとなるとかなりの負担になりますので、まったく利害関係がないのにそこまで協力してくれる人はなかなかいないですよね。

以上、参考になれば幸いです。

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